一閑関連記事

         混ぜておぼえる はじめての 『 釉薬づくり 』             
             
著者:野田耕一 発行:誠文堂新光社(2005年)

 

自分のオリジナル釉を作ってみたい人へ

この本は、野田耕一氏らしく割合丁寧に、
釉薬の事が説明されています。
オリジナル釉を作りたいけれどけれど、
どうしたらよいかわからない方には、
とても参考になるのではないでしょうか。

一気にやろうと思うと とても大変ですが、
興味あるところを少しづつ原料をそろえ、
とりあえず本の通りやってみる
そんなはじめの一歩が
次の新しい世界を開きます。

一閑も、取材協力いたしました。




(本文:一閑の関連のところを抜粋)



11章 私の釉薬つくり

陶芸工房一閑 「基礎から学ぶ釉薬づくり」


 
陶芸家 望月集さんが主宰する「陶芸工房一閑」。
陶芸教室を開催している時間以外は、スタッフ達が修練をする作陶の現場になります。
これまでに、何名もの陶芸家の卵達が巣立って行き、現在のスタッフは女性四名です。
作陶のかたわら、陶芸教室用の釉薬テストや釉薬調合の基本となる三角座標づくり、
各個人の作品づくりのための釉薬研究などをしています。

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陶芸家にとって必要な釉薬づくりの基本を学ぶ

 陶芸工房一閑で作陶するスタッフは四名は、陶芸教室を手伝いながら、陶芸家を目指して勉強をしています。
 趣味で作陶をしている方の釉薬づくりと、プロの陶芸家の釉薬づくり。基本的に行っている作業は同じですが、「知っておかなければならないこと」の差は大きいでしょう。
 一閑のスタッフ達は、望月さんの指導の元、釉薬調合の基本がわかる「三角座標」づくりや陶芸教室用の釉薬のテストのほか、個人的に興味のある釉薬のテストを行っています。
 それらのテスト内容は多岐にわたっていて、数え切れないほどパターンを計画に沿って順番にコツコツと調合していきます。そして、それらの焼成結果をキチンと整理して検討します。
 目的を持って行う数多くの調合テストの経験が、しっかりとした釉薬の知識を身につけてくれます。


「三角座標」づくりで成分バランスを知る

 基礎釉の章の9ページで説明した「三種類の役割」を理解する一番良い方法が、この「三角座標」づくりです。三種類の役割をする代表的な原料の組み合わせを、一定の割合ずつ変化させてその釉調を見るものです。大学の陶芸講座や産地の訓練校などで、釉薬の基本を学ぶときに行われます。
 一閑でも、原料の割合による釉調の変化や熔け具合を、感覚的に覚えるために、この三角座標を実際につくらせています。


粘土や下絵の具、焼成方法による変化を調べる

 一閑の陶芸教室でおもに使用している粘土は9種類。釉薬のテストでは、その調合だけではなく、粘土との組み合わせや焼成方法による焼き上がりの違いも見なければなりません。また、ベンガラや呉須による下絵付けの発色やにじみ具合、化粧土を施した部分の様子など、装飾による変化も重要です。陶芸教室で実際に使われることになった釉薬は、さらに詳細なデータがわかるように、粘土別、焼成別の色見本がつくられます。

必要な釉薬を追求する

 望月さんの指示のもと行われる陶房のテスト以外にも、スタッフは各個人で、自分の
釉薬を探すためのテストを行っています。
 たとえば、スタッフの高岡さんは、繊細な呉須の絵付けに合った白い釉薬を見つけるために、教室の白萩釉ベースにテストを行っています。調合されている藁灰と合成土灰の割合比を変化させて、普段焼成する温度で焼いても絵柄が滲まない安定した釉薬を探しています。


釉薬づくりの魅力と難しさ

 一閑で行われている、詳細なテストピースづくりは、けして楽しい作業では無いでしょう。しかし、必要な発見は、数多くのテストの中にあるものです。テストのためのテストでは意味がありませんが、将来、必要な釉薬を見つけたいとき、このテストピースづくりで養った経験と勘が必ず役に立つときが来るでしょう。
 成形から焼成まで、陶芸家が身につけなければならない技術と知識は山ほどあります。一閑のスタッフ達のように、地道に基本を学ぶことが陶芸作家として独り立ちする最短距離なのかもしれません。


 

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